透析予防の専門家集団への相談

■仲良
「最近透析予防の医療の専門家集団への相談が可能になったと聞いたのですが?」

■東石
「仲良くん、そうなんじゃ!2012年度の診療報酬改定で「糖尿病透析予防指導管理料」(表1参照)が新設され、すでに4年余りが経過した!透析予防診療チームの活動には、糖尿病の重症化予防や患者さんのQOL向上、医療従事者の負担軽減、医療現場の活性化などが期待されておるが、医療従事者の立場にたてば、「十分な成果を上げるためにはスタッフの技量や多職種間のコミュニケーションも重要な要素とるでしょう!」と私が通う病院の先生もおっしゃっていた。
私が通う病院では、2012年7月より糖尿病透析予防サポートチームの活動を本格化してのう!。以前より実施していた栄養指導を新たに整備し直し、メンバーで話し合いを重ねながらさまざまな施策の実施と改善を繰り返してきたそうじゃ! そのチームを率いた先生にいろいろ話はきいておるぞ!」

■仲良
「その病院ではどのような取り組みがなされているんですか?」

■東石
「多くの糖尿病患者が受診するその病院では、その受診経緯や症状に応じて「通常外来」「糖尿病の地域医療連携パスによる外来(きずな外来)」「フットケア外来」「インスリン自己注射指導」「糖尿病透析予防指導」などのさまざまなケースがあり、対応や診療体制もそれぞれに異なるらしい。たとえば、紹介状を持参した患者さんや健康診断を通じて糖尿病が疑われた患者さんが受診する「通常外来」であっても、看護師の生活指導と管理栄養士の栄養指導は”必須”としておるそうな。また、連携パスを使って同じ地域の9医療機関で診療中の患者さんが年に1~2回受診する「きずな外来」では、指導の質を担保するために、必ず日本糖尿病療養指導士=CDEJが指導を担当することになっているらしい。CDEJの一人である薬剤師のS先生も「普段は外来患者さんに対応することは少ないものの、きずな外来の患者さんに対しては、必要に応じて服薬指導などを行っている」と連携パスの患者さんに対しては、よりキメの細かい指導を行っていると説明くださった!
これらに加えて、4年前くらいから以降「糖尿病透析予防」の指導体制をより強化されたときく。わしが通う病院が最初に行ったのは糖尿病透析予防サポートチーム(以下、DMST)を発足させることだったそうな。DMSTは、G先生をはじめとする専門医3名、薬剤師3名、看護師10名、管理栄養士3名、臨床検査技師2名、臨床心理士1名の計22名で構成され、医師と臨床心理士を除くメンバーのうち14がCDEJの有資格者であり、他のメンバーについてもこのエリアでのCDEJ認定取得を予定しているという、糖尿病診療の専門家集団らしい!
DMSTは発足後すぐに活動を開始し、医事課も含めた全メンバーでミーティングを行い、患者指導の場所や動線などを検討、さらに糖尿病チーム医療で実績を上げている他病院の講演会に参加するなどしてノウハウや知識の吸収に努めたそうな!その後も病院側と調整しながら何度もメンバー間で話し合い、実際に点数の算定を開始したそうじゃ!」

■仲良
「なるほど!もう少し詳しくその流れを教えていただけませんか?」

■東石
「その病院での「糖尿病透析予防指導」の流れは通常外来の患者さんの場合とほぼ変わらず、採血、看護師の問診、医師の診察と指導、看護師の指導、管理栄養士の指導が基本とるらしい。「医師の診察前に看護師がHbA1cの数値等を確認して患者さんから最近の体調や生活ぶりを聞き取るのは、『看護師には話しやすい』という患者さんのニーズもありますが、その情報を医師に伝えることで診察がよりスムーズになるからです」と看護師のSさんも説明してくださった。それらの情報を踏まえて、G先生は初診の患者さんであれば1時間程度かけて糖尿病透析予防の重要性をじっくり説明し、今後の診療について理解してもらうらしい。一方、管理栄養士による食事・栄養指導は、一般の糖尿病患者さんの場合が30分~1時間かかるのに対し、糖尿病性腎症2~4期の患者さんは逆に15~30分程度と短いらしい。管理栄養士のKさんは、「重症な患者さんほど他の指導内容も多く、こちらの話がなかなか頭に入らない傾向にありますので、できるだけポイントを絞ってお伝えしています。大切なのは、どんな食習慣をされていても否定をしないこと。例えば寝酒の習慣がある患者さんには『食事しながら飲んではどうですか』など、少しずつ改善できるような提案をします」と指導のポイントを説明してくださったぞ!」

■仲良
「なるほど、医療従事者の皆さんはそのような努力をされているわけですね?ところで先生方は、今後はどのようなことが課題だとおっしゃっていました?」

■東石
「その病院が実施した透析予防指導を受けている患者さんへのアンケートによると、血糖値については約90%の患者さんが認識しているものの、自身の腎症の程度を知る患者さんは半数にすぎんらしい。血糖値については、指導を継続することによって治療意欲が高まり、食事療法についても意識が高くなったと考えられるそうなんじゃが、これまで炭水化物や脂質を抑えるよう指導していた患者さんに「透析予防指導」では、病期により、たんぱく質を抑え炭水化物や脂質でエネルギーを補うという指導になることもあり、「患者さんの混乱を招いたのではないか」という反省もあると、S先生はおっしゃっていた。
「数値や書式での成果報告ではなく、指導を受けた患者さんが実感できるまでの成果はまだ出ていないと言えます。メンバーだけが成果を感じているようでは自己満足で終わってしまいますので、今後はさらなる検証も必要ですし、説明の方法などもいっそうの工夫が必要になるでしょう」とはG先生。
わしも含めてそうじゃが、患者というのはいくら数値で示されても自分の状況を理解するのは難しい。だから、様々な側面から噛み砕いて説明し、患者さん自身が患者さん自身の状況をより理解できるような説明が必要なようじゃのう!