■仲良
「東石さん、透析を受ける人の数が年々増えているそうなんですが、それは一体どういう理由からなんですか?」
■東石
「これは医療の現場にいらっしゃる看護師さんから伺った話なんじゃが、日本の透析患者さんの数は、2015年度で32万人を超えているそうな…。これまで年間1万人ペースで増加しておるらしい…。
当初は慢性腎臓病からの透析導入者がほとんどじゃったらしいのじゃが、ここ十数年間の透析導入者はわしのように糖尿病の合併症から透析導入する透析患者さんの数が圧倒的だそうな。
腎臓病の方、糖尿病の方の数が大変多いので透析予備軍として今後も透析患者さんが増えてくることは明らからしいんじゃよ」
■仲良
「しかし、透析を受けなければならない患者さんとは、一体どういう状況なんですか?」
■東石
「透析を導入しなければならない患者さんの腎不全とは、腎臓の働きが著しく低下して体の中の不要な老廃物を排出できない状態なんじゃ!
その老廃物を体外へ、腎臓の代わりに透析排出するのが透析治療じゃ。
腎臓組織を構成している糸球体を血液が通過することで不要な老廃物や水分が尿として排出するんじゃ!
体に必要なアミノ酸やナトリウムなどの電解質は体内に戻され、体の正常なバランスを保ってくれる。
腎臓の機能は不要な老廃物と余分な水分を体外へ排出する機能以外に、様々なホルモンを生成する機能があるんじゃぞ!
■仲良
「老廃物や余分な水分を体外に排出する、様々なホルモンを生成するということはわかりました。と同時に、透析の際に重要なのは、製剤の投与であるとお聴きしましたことがあるのですが?」
■東石
「よし、ではここで、透析の際に投与される製剤について触れておくことにしよう。
まずは、エリスロポエチンについてなんじゃが、赤血球を作るホルモンで、このホルモンの生成が減少すると貧血になる。腎不全になると貧血が起こるのはそのためなんじゃ!
しかし、エリスロポエチンは人工的に造血ホルモン剤として製造するので透析患者さんの貧血は画期的に改善されたんじゃ!
エリスロポエチン製剤では、エポジン、エスポー、ネスプ といった名称のものがあり、エポジンとエスポは製造医薬品会社が違うだけでおなじものをさすんじゃ。
分子構造はほぼ同じで一部異なる部分があるだけらしい!
エポジンとエスポは注射液として用いられますが、血中に存続する時間があまりにも短いので、週に2,3回は投与しなければならず、透析患者は週に3回、透析ごとに投与されることになる。
それに対しネスプは半減期が長いために週に1回の投与で済む。
これはある意味、画期的なことかもしれん!
次にビタミンD活性剤についてじゃが、カルシウムの腸からの吸収を促進するホルモンで骨を形成する働きがあり、このホルモンが不足すると骨がもろくなる!それを補うのがビタミンD活性剤といった薬なんじゃ。
更に、レニンなんじゃが、血圧を上げるホルモンで、透析患者さんが除水によって循環血漿量が減少するとともに血圧低下が起こるんじゃが、そのようなときに多く生成されて血圧を上げようとするホルモンを指すんじゃ!
慢性腎臓病状態から腎不全状態になると、むくみ、高血圧、血尿、尿にタンパクが下りてくる。
尿毒症状態に至ると体内に老廃物や余分な水分が多量にたまりなお一層のむくみが全身に起こる!
貧血、呼吸困難、頭痛、しいては意識障害まで起こってしまう。
尿毒症に陥るいわゆる毒素の成分は、正常なら尿によって体外に排出されるべき、尿素窒素やクレアチニンやカリウムなどのタンパク質が分解されて生成される不要物質なんじゃ!
繰り返しになるが、透析治療もしくはそれ以外の治療の種類について触れておくと、腎不全の治療法としては、血液透析と腹膜透析。それと腎臓移植があるが腎臓移植は腎臓の提供者がいなければならないので、今では血液透析が腎不全治療の主流じゃ!
腹膜透析は、体が弱って病院へ定期的に通院して透析を受ける体力がない患者さんや、仕事などで多忙な患者さんが通院できないなどの理由でベッドに拘束されない腹膜透析を利用しておる。
血液透析をいよいよ導入しなければならなくなると、透析の血流を確保すために、利き腕とは反対の腕にシャント手術をする!
手首のところで、動脈と静脈の血管をつなぐ手術をさす!
動脈の勢いある血流が静脈へと流れてきて静脈の血流量が増加しますので、そこへ2本の透析針を穿刺し透析を行うことができるんじゃ!
シャントには内シャントと外シャントがあり、ほとんどは内シャントを作りることになる。皮下で動脈と静脈を結合させ吻合するので安心して入浴もできるんじゃな!」
■仲良
「なるほど、そこでいよいよ透析となるのでしょうが、その方法って一体どうなんでしょう?」
■東石
「血液透析方法としては、
血液を取り出す側の穿刺部分から一分間に200mlの血流を取り出し、透析器につながったダイアライザーの中を通過させる。ダイアライザーは、腎臓の糸球体と同じ働きをする機器のことをいう。
血管内の不要な老廃物と余分な水分を血管外へ排出する働きがあるじゃよ!
透析回路内を循環する血液が固まらないように抗凝固剤が一定の量を自動的に回路内に注入される。
ダイアライザー内を循環し続けることにより徐々に血液は浄化され健康な血液となっていく!
透析することで主に尿毒素と余分な水分が取り除かれ、エリスロポエチン製剤で貧血は改善され、余分な水分とナトリウムも排出されて高血圧が改善される!
こうして週に3回、1回の透析でおよそ4時間~5時間の透析を続けることで透析患者さんは普通の健康な人に近い体に戻り、クオリティのある生活を続けられるのじゃ。
透析は長く続けなければならない治療なので、透析を受けることをきちんと受け止め、それに沿った生活習慣というのをきちんと確立する必要があるんじゃな!」