糖尿病の合併症の真犯人

糖尿病の合併症が起こる起因や仕組みはこれまでははっきりとわかっていませんでした。
それが、米国のロックフェラー大学の研究により、合併症を引き起こす重大な犯人の一つが突き止められました。
それは、血液中の糖が過剰になると増える「AGE」という物質です。

AGEは「終末糖化産物」という言葉の英訳の頭文字を取ったもので、ブドウ糖がコラーゲンなどのたんぱく質と結合できる物質のことです。

AGEは2本のコラーゲン繊維をつなぐ橋のような役目(架橋という)をします。AGEによって架橋が作られると、血管は柔軟性を失って硬くなってしまいます。
そのため、血管が破れたりつまったりしてくるのです。

特に細い血管ではAGEの害が顕著に現れます。そのため、細い血管が密集している神経・腎臓・目に合併症が現れやすくなるというわけです。

糖尿病腎症などの合併症は、体内にAGEを増やさないようにするだけで、ほとんど防げます。
では、体内にAGEを増やさないようにするには、どうすればいいのでしょうか。
それには、次の4つの対策を行うといいでしょう。

①AGEを多く含む食品を控える
②タバコを吸わない
③紫外線や食品添加物をさける
④高い血糖値を下げる

AGEは体内に過剰に増えた糖から作られます。しかし体内に増える原因はそれだけではありません。
実は私達が普段食べている食品にも、AGEが大量に含まれているものがあり、それを頻繁にとれば、体内のAGEは増えてしまうのです。

食品からとったAGEは、胃や腸で分解されずに、約10%が体内に吸収されます。
さらに、そのうちの6~7%は体内に長期間とどまり、長い時間をかけて体内に蓄積され、確実に体をむしばんでいくのです。

AGEは主に色の濃い食品に多く含まれます。具体的には、しょうゆやコーラ、紅茶といった食品です。
またこれら以外の食品でも油で揚げたり直火であぶったりする加熱調理を行うと、食品に含まれる糖たんぱく質が反応して、AGEが大量に発生してしまいます。
製造過程で加熱処理をする食品にもAGEは多く含まれています。特に魚や肉などを焼いた時にできるコゲはAGEが高濃度に含まれています。

こういったAGEを多く含む食品は、健康な人が食べる分には問題ありません。
腎臓の機能が正常なため、体内に入ったAGEは体外に排出されるからです。
ところが、糖尿病で腎臓の機能が衰えた人がAGEを多く含んだ食品を食べれば、AGEが体内に蓄積し、合併症を招く重大な原因になります。
糖尿病の人は、こうした食品を極力控える必要があります。
そこで、普段の食事では、生でも食べられる野菜や刺身などを積極的にとり、加熱する場合は、AGEの発生が比較的少ない蒸し料理やゆで料理にするといいでしょう。
また、私達が日常的にとっている食品の中には、AGEを減らす働きを持つものもあります。

中でも効果が大きいのが緑茶。緑茶に豊富なカテキンには、AGEの産出を抑え、体内に増えたAGEを減らす働きがあるのです。
1日に3~5杯を目安に緑茶をのむようにするといいでしょう。

また、合併症を予防するために糖尿病の人は第二の対策として、禁煙をするようにして下さい。

そして外出時には日傘やサングラスを使うようにし、なるべく、無農薬で添加物の少ない食品をとるようにしましょう。日焼け止めクリームも大切です。

もちろん対策として血糖値を下げることは必須です。