薬物療法は食事・運動を手助けする治療

生活習慣の改善を行っていても、うまく血糖値がコントロールできない場合に薬物療法が考慮されます。
ただし、あくまでも治療の基本は、食事と運動です。これらをおろそかにしたまま安易に薬物療法を行う事は厳に慎まなければ なりません。

使われる薬は、大きく3タイプに分けられます。

1つは、血糖を調節する経路に直接作用するタイプで、これまで最も一般的に用いられてきた飲み薬です。
2つめは、不足するインスリンを注射で補うタイプです。
3つめは「インクレチン」というホルモンに関係して作用する「インクレチン関連薬」で、2009年末から使われている最新の糖尿病治療薬です。

どの薬を使うかは、HbA1c値などを目安に選択されます。
薬物療法ではまずHbA1cを6.5%未満(JDS値)に下げることを目標にします。
6.5%未満になると細い血管に起こる「三大合併症」のリスクが低下するとされています。
この目標を達成したら、太い血管に起こる「動脈硬化」のリスクが下がる5.8%未満を目指します。

糖尿病の薬は、使うタイミングが重要です。
薬によっては食事の直前に使用しないと、効果がなかったり、低血糖を起こしたりします。
逆に、食後に服用する薬もあります。 必ず医師の指示を守って使用して下さい。

薬のみ忘れたり注射し忘れたりしたとき、2回分をまとめて使用するのは大変危険です。
その場合の対処法を、事前に医師に確認しておきましょう。

他の病気の薬が血糖値に影響したり、糖尿病の薬と相互作用を起こすこともあります。
受診時には、使用中の薬名をすべて医師に伝えましょう。

★知っておこう★
インスリン注射は治療の【最終手段】というイメージがありますが、そうとは限りません。
すい臓の病弊が顕著な場合、一時的にインスリンを使用してすい臓を休ませ、
インスリン分泌機能が回復してから、飲み薬に替えて治療を続けることもあります。