糖尿病は、高血圧、高脂血症、痛風などとともに、生活習慣病と位置づけられています。
これらの疾患は、いずれも過食、肥満、運動不足、ストレスなどの生活習慣が引き金になって発症します。
糖尿病は、自己管理の病気であるといわれるように、患者さん自身が治療を十分に理解し、日々の生活の中で実行していくことが一番大切です。
糖尿病の治療は、食事療法・運動療法・経口薬飲用・インスリン自己注射・血糖自己測定と多岐にわたり、これらを身につけることは、容易ではありません。
また、糖尿病の治療は生涯にわたります。長年身についた生活習慣を改め、時には人生観まで変えなければいけません。
食事・運動療法を続けて行い、多くの患者さんが正確で最新の情報を得て自己管理方を修得していくためには、糖尿病療養指導従事者の質的向上と人員の充実が不可欠です。
更に良い血糖コントロールを維持すれば、合併症の発症や進展が予防できることは明らかです。
しかしわが国の糖尿病受療者のうち、良好な血糖コントロールを継続している人は僅か16%にとどまっています。
そして、日本糖尿病学会認定の専門医数は2005年5月現在3113人です。急増する糖尿病患者さんの療養指導に対応できない状況です。
このような社会的要求に応えて発足したのが、日本糖尿病療養指導士制度です。日本糖尿病療養指導士 とは、糖尿病とその療養指導全般に関する正しい知識を有し、 医師の指示の下で患者さんに熟練した療養指導を行うことのできる医療従事者(看護師・管理栄養士・薬剤師・臨床検査技師・理学療法士)に対し、日本糖尿病療養指導士 認定機構が与える資格です。
定期的に行う検査などのチェックも療養指導士が行っています。
医師は外来が混雑すると定期的チェックをオーダーし忘れがちになりますが、療養指導士が支援に入ることで、そうした忘れをなくすことに貢献しています。
さらに、糖尿病療養指導士として、自己インスリン注射療法の導入や、血糖自己測定の導入、管理、指導などは、日常の仕事です。
例えば、あやまってインスリン注射をしていた患者さんに、正しい注射のしかたを助言しただけで、不安定だった血糖コントロールが改善した例もあるそうです。