糖尿病とタバコの影響について

よく言われのが、『タバコは百害あって一利なし』の言葉です。
タバコがお好きな方にとっては、こうは言ってもなかなかタバコはやめられないでしょうね。
具体的にどんな害があるのか、それを知ると、あるいは教えてあげると幾らか止めようとの決意が強まるかもしれません。

まず、心筋梗塞などの虚血性心疾患による死亡率が、たばこを 吸わない人の何と2倍!!
そして、その原因の3割~4割が、喫煙によるもの!とされているという統計があります。

心疾患の多くは心臓付近の血管に血栓という血の塊ができてしまい、それが血液を通せんぼして、心臓に血液が流れなくなることによって起きてしまいます。
これは明らかに、たばこが血液の流れを悪くし、血栓を作り出す要因になってしまっているということですね。
もしこれが、脳の中で起きると脳梗塞を引き起こします。

もともと糖尿病というのは、血液の流れが悪くなる病気です。
血糖値の高い(糖分の多い)血液は、かなりドロドロしていて、ただでさえ血管の中で流れにくい状態なんですね。

この状態を、「砂糖水の法則」と呼ばれています。
普通の水はコップを傾けると、勢いよく流れていきます。
でも、砂糖がたっぷり入った砂糖水はどうでしょうか?流れ落ちるのに時間がかかりますよね。
砂糖の量が多ければ多いほど、そうです。時々飲み終わったコーヒーのカップの底に溜まっているのがありますよね。

ああいう感じです。血糖値が高いというのは、血液中の糖分が多いということですから、砂糖水のように当然流れが悪くなります。

◆タバコは血液の流れを悪くする◆
タバコを吸うということは、簡単に言うと煙を体内に取り入れていることと同じです。
一酸化炭素を、体内にわざわざ入れているのです。

ある説では、1本のたばこには、致死量の20分の1の一酸化炭素が含まれていると言われています。
では、一酸化炭素を吸うことが、糖尿にとって特になぜ悪いのかということですが……

血液の中の成分に赤血球という物がありますね。
さらに赤血球の中に、ヘモグロビンという物が存在しています。ヘモグロビンは通常、酸素とくっついています。
そして、血液が体の中を巡るときに、ヘモグロビンとくっついている酸素も一緒に運んでくれている訳です。
そのお陰で、体中の細胞に酸素が行き巡り、健康な状態を保つことが可能になっているのです。

しかし!

この一酸化炭素は、酸素の200倍以上の強い力で、ヘモグロビンと結合してしまうのです。
つまり、一酸化炭素は、酸素がヘモグロビンと結合するのを邪魔してしまうのです。
そして、酸素の代わりに、一酸化炭素が体中を巡ってしまう事になる訳です。

一酸化炭素が結合した赤血球が血管内を巡ることにより、体中の細胞は酸素が欲しいのに、一酸化炭素が運ばれてしまいますから、細胞は酸欠状態に陥ります。
そうすると体は異変を察知して、酸素と結合させるために、もっと多くの赤血球を作り出します。
そうすると当然血液中の赤血球の量が増えますが、血液中の成分バランスが崩れ、いわゆるドロドロした血液になり、これが流れにくい血液となり、そして血栓(血の塊)ができやすい状態になってしまいます。

でも、タバコを吸い続けると、せっかく新たに作り出した赤血球も、酸素ではなくまた一酸化炭素と結合されてしまうので、また体は多く赤血球を作り出しさらにドロドロに……、と悪循環に陥ってしまいます。
それで、タバコは血液中の赤血球の量を増やし、それが心筋こうそくや脳こうそくなどの合併症の原因となる、と言えます。

さらに、タバコの害を語る際によく言われるのが、ニコチンです。
ニコチンはどのように血液の流れを悪くして、合併症の原因となるのでしょうか。

ニコチンは、実は血小板をベタつかせるという作用があるのです。血小板とは、血液の成分の一部ですが、元々互いにくっつきやすいという性質があるんですね。
元々くっつきやすいのに加えて、ニコチンにより、さらに粘着度が増し、結合力も増してしまいます。

小さな血小板が、1個くっつき、倍の大きさになり、もう1個くっついて3倍になりと、どんどんどんどん結合していくと、大きな血栓(血の塊)になり、それが血液の流れを止めて通せんぼしてしまいます。
そして、心筋梗塞や脳梗塞などの、重大な合併症につながっていくんですね。

タバコを吸う人にとっては、耳の痛くなる話かもしれませんが、今すぐ禁煙が難しいとしても、少なくとも本数を徐々に減らしていくようにしたいものです。