透析不均衡症候群、その他について

■仲良
「東石さん、今日も透析に関する色々なことをお聞きしたいんですが、透析をうけていると、透析不均衡症候群なる症状に悩まされると聞いたんですが、それはいったいどんな症状なんですか?」

■東石
「体が透析にまだ慣れていない、透析導入期によくみられる症状なんじゃ。症状は、透析中から透析終了後12時間以内に起こる腹痛・吐き気・嘔吐などで、透析を行うことで体内の血液中の老廃物が急激に除去されてきれいになるんじゃが、脳の中の老廃物は除去されにくく、体と脳との間に濃度差が生じる。そのため、脳の中の老廃物を薄めようとして脳は水をどんどん吸収するため、脳がむくみ、脳の内圧が高くなることで引き起こされる症状のことをさす。体が透析に慣れていけば徐々に起こりにくくなるんじゃが…。予防には、水分や塩分、タンパク質の制限を守ることで緩やかな透析を行う、透析時間を長くするなどで改善されることもおおいそうじゃ!

■仲良
「他にも、透析中に頭痛に悩まされている方も多いと聞きましたが?」

■東石
「頭には、血液脳関門と言う、体内に入ってきた毒素や薬品などを、簡単に脳内に入り込ませないようにする仕組みが有る!そのため、透析の様に短い時間で血液の毒素を抜くと、体幹部分の毒素が抜けても、脳内の老廃物・クレアチニン・尿素窒素・尿酸などは、抜けるのが遅いため、浸透圧により、脳の方に水が移動して、移動した水分で脳が腫れてしまい、脳膜が刺激されて、頭痛になるんじゃ。簡単に言うと、脳がむくんだ状態になり、脳膜を刺激するので頭痛になるんじゃのう。通常は、24時間以内に痛みはなくなるはずである。
また、血圧との因果関係もあって、透析を始めたときは、多くの人に高血圧がみられる。これが、頭痛、イライラ、吐き気、夜ぐっすり眠れないなどの症状を引き起こす。高血圧の主な原因は、水分や塩分の摂りすぎにより、それらが十分に排泄されず体液量が増加することで起こる!体重増加に気をつけにゃならん!また、高血圧は動脈硬化、心臓病、脳卒中、視力障害(眼底出血)などの原因にもなるので要注意じゃぞ!」

■仲良
「逆に、血圧低下が起こったり、またこむら返りを起こしたりなんてことも聴きますが?」

■東石
「ほとんどの場合が、塩分・水分の過剰による体重の増加の為、急激な除水をする事が原因のようじゃのう!
血液透析は、循環血液から水分を取り除く為、循環血液量が減ってしまう。普通は、細胞外液が血管内に入って来て、循環血液量を一定に保てるのじゃが、急激な除水をすると、細胞外液が血管内に入って来るのが間に合わなくなる。その結果、循環血液量は減って、血圧が下がる。この場合の予防方法は、急激な除水をしない事、体重の増加を極力抑える事が大事じゃな!
さらに、低血圧は、自覚症状としては、あくび、吐き気、嘔吐、頭痛、動機、冷や汗などを引き起こすことになる。また、長期間透析を続けていると、次第に低血圧に移行することがあり、透析が困難になったり、めまいや全身倦怠感など日常生活に支障をきたしたりする人もいらっしゃるから要注意じゃぞ!

また、こむら返りの原因も、ほとんどが塩分・水分の過剰による体重増加の為、急激な除水をする事が原因のようじゃ!それ以外では、ドライウェイト以下に体重を落としてしまった場合や、筋肉の働きに関係している、遊離カルシウムが原因らしい。透析前の透析者の体は、酸性に傾き、カルシウムの値が低くても痙攣はおきない!しかし、透析をして、体が酸性からアルカリ性に傾いてくると、遊離カルシウムが減り、筋肉の痙攣、こむら返りがおきやすくなるそうなんじゃ!」

■仲良
「透析中に起こる様々な症状を改善、予防する方法って何かありますか?」

■東石
「繰り返しになるが、やはり、以下のことがポイントになる!

・摂取する栄養素を意識した食生活
・透析に不可欠なシャントの維持

シャントを長持ちさせるために、シャントの閉塞や感染などを予防すること!シャント部分を毎日観察し、朝夕2回は耳を当てて音を確認したほうがよい。また、シャント部分に触れて拍動が正常に感じられるかの確認も必要じゃ。感染しないように常に清潔を保つことも大切。透析日は針跡からの細菌侵入を防ぐため、浴槽での入浴は避け、シャワー浴にとどめたほうがよいじゃろう。温泉、プールなど不特定多数の人が利用する施設も感染の可能性が高まるので、注意せねばならん。日常生活の中ではシャント側の腕に負担をかけないように気をつけねばならん。具体的には、シャント側の腕を体の下にして寝ない、シャントをたたいたり物に強くぶつけない、シャントの腕に腕時計をしない、シャントの腕で重いものを持ったり、カバンなどをぶらさげない、シャント側の腕で血圧測定や採血をしないといったことじゃの!あとは、やはり適度な運動、十分な睡眠、排便の習慣をきっちり守ること、体重の管理、医師から処方された薬をきっちり服用することじゃ。
とにかく糖尿病の症状を少しでも改善するための基本的な知識を忘れることなく、日々、それを守ることが何よりも大切。なにせこの病気とは長く付き合っていかなければならん!だから、日々の生活、そして習慣をきちんと正すことが大事じゃな!