■仲良
「東石さん、先日、糖尿病が進行した際の、糖尿病腎症以外の合併症に関しても教えていただきましたが、これらの進行を抑える何かよい手はないでしょうか?」
■東石
「糖尿病というと、いわゆる血糖値が高いこと、とすぐに思い浮かぶ人も多いかと思うんじゃが…。確かにその通りで、糖尿病というのは、基本的に血糖値が高い状態がずっと続くことを言う。そして糖尿病は、幾つかの非常に深刻な合併症を発症してしまうことが強調されておる!
たとえば、前にも述べたとおり、糖尿病の3大合併症は、「糖尿病性網膜症」 「糖尿病性腎症」 「糖尿病性神経症」!これらの合併症が進行していくと、失明、人工透析治療、体の特定部分の壊死という、本当に大変なことになってしまうんじゃ!他にも、脳梗塞や心筋梗塞といった、死と隣り合わせの危険な病気も、糖尿病が原因となっていると言える!」
■仲良
「これらの合併症や関連の病気には一つの共通点があるということを聴いたことがあるんですが?」
■東石
「糖尿病によって引き起こされるある状態が、これらの合併症の根本原因となっておる!それは何だと思う?
その根本原因とは、血液の流れが悪くなること!血液の流れが悪くなることが、深刻な合併症の主原因なんじゃ!では、その辺りを少しご説明させてもらうとしよう!
糖尿病とは前述のように、血糖値が高い状態がずっと続いているということじゃ!
血糖値が高いということは、血液の中に、たくさんのブドウ糖が存在しているということをいう。本来わしらが食べた物は胃で分解され、ブドウ糖という栄養分になり、腸から血液へと出て行く。そして今度は、ブドウ糖は血液の流れに沿って、体中の細胞内に入って行き、細胞が栄養をとり、わたしたちは元気になる、という仕組みになっておる。けれど、食べ過ぎや生活習慣の乱れ、ストレス、体の不調などの様々な理由によって、ブドウ糖が細胞内に入らず、血液中に余ってくる!これが、血糖値の高さにつながるんじゃよ!
血液の中に、たくさんのブドウ糖が余っているということは、血液がドロドロ、ネバネバしてくるということ!
これは丁度、普通の水と砂糖水の違いのようなもの。普通の水はグラスを傾けると、スルッと水が流れ落ちてくるよな!でも、砂糖水の場合はどうじゃろうか?
ドロドロしているので、なかなか落ちてこない!砂糖の量が多ければ多いほど、落ちてきません。放っておけば、固まってしまうことだってある。
高血糖の血液、糖尿病の方の血液も、まさにこれと同じ状態なんじゃ!血液にブドウ糖という糖分が多く含まれているからのぉ~!心臓が一生懸命ポンプの役割を果たして、血液を体中に流そうとするんじゃが、血液がドロドロしているがためになかなか流れないんじゃ!(これが糖尿病の方に高血圧の方が多い理由にもなっておる!)コーヒーを飲んだ後のカップの底に、砂糖が余っていることってあるじゃろう!カップを垂直にしてもゆっくりゆっくりとしか流れてこないのと同じで、ブドウ糖がいっぱい含まれている血液は、なかなか流れにくく、途中で止まったり、固まったりもするんじゃよ!
これをわしは、砂糖水の法則と呼んでおる!
体中の血管という血管を全部合わせると、なんと全長10万キロにもなるそうな!これは、地球を2週半する長さ!地球2週半の長さにもなる血管の隅々にまで、血液を流れるようにするためには、血液がドロドロではなく、サラサラでないと不可能な話じゃ。しかも、血管のほとんどは毛細血管といって、それはそれは細い血管!ただでさえ血管という通り道が細いのに、それに加えてドロドロ血液だと、詰まってしまうのは当然な話じゃろ!。
このように、血糖値が高く、血液がドロドロしていると、血管内で血液が流れにくくなり、ついには血管内で詰まってしまう。では、詰まってしまうとどうなるか?」
■仲良
「そうなると、先に挙げたような深刻な合併症を引き起こす!というわけですか?」
■東石
「糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経症も、すべて血液の流れが悪いことによって生じるんじゃ!
たとえば、「糖尿病性網膜症」は、ごく簡単に言うならば、目の網膜に栄養を運ぶ血管が詰まることによって、栄養をもらえない網膜が弱ることが原因となっておる。
「糖尿病性腎症」も、腎臓の機能が弱る訳ですが、なぜ弱るかというと、やはり腎臓内の血管が詰まったり、ドロドロ血液によって傷つき血管が破れることによって起きる!
「糖尿病性神経症」もそう。体中にある色々な種類の神経も、結局は血管を通って流れてくる血液内の栄養分をもらって、神経の機能を果たしている。でも、血管の詰まりによって栄養をもらえないと、神経が弱ってしまうから、「糖尿病性神経症」を引き起こしてしまう訳なんじゃ!
「脳こうそく」や「心筋こうそく」も、流れにくい血液が原因で血管が詰まることによって起きる。もしその詰まりが脳の血管内で起きれば脳梗塞を、心臓付近の血管内で起きれば心筋梗塞となるんじゃ。
■仲良
「ということは、糖尿病の重大な合併症の主原因は、血液が流れにくくなることなんですね?」
■東石
「そう、まさにその通り!そして、それによって生じる、血管の詰まり!
それで合併症を防ぐためには、とにかく血液の流れを良くすることと、血管の詰まりをなくすことが必要!この血管の詰まりということに関して、「血栓」という言葉をお聞きになったことがあるかの?血管内を防ぎ、通せんぼしてしまうのがこの「血栓」と呼ばれているもの。合併症を予防するためには、この血管を詰まらせてしまう「血栓」についても勉強することが大事!
血栓については長くなるので、またの機会に!
とにかく、大切なのは、血液をなるべく正常な状態に保つこと!
それによって、これらの合併症を抑えることができるんじゃから!
仲良くんも、くれぐれも“血液の流れ”、気を付けたまえ!