自宅での食事の留意点-1

■仲良
「東石さん、透析予防のために食事療法で、外食については教えて頂きましたが、今度は自宅での食事の留意点を教えていただけませんか?」

■東石
「自宅での食事療法については長くなりそうだから、何回にわけて、説明したほうが良さそうじゃのう!まず1回目は糖尿病腎症に症状が発展したら、やはり、腎臓を労わる食事療法をはじめにゃならん!
腎症の進行を防ぐには、糖尿病の治療(血糖コントロール)のための食事療法に加え、たんぱく質や食塩の摂取を控えて腎臓の負担を少なくする、腎症治療のための食事療法が重要になるんじゃ!
一番の相違点は、たんぱく質の摂取を制限すること!
たんぱく質は、炭水化物や脂質と並び、必要不可欠な栄養素じゃが、なぜその摂取が制限されるかわかるかの?」

■仲良
「なんか、今ひとつピンとこないので、ご教示願いたいんですが?」

■東石
「たんぱく質の摂取というのはなかなかやっかいな問題でな…。
体内の余分なたんぱく質は、尿素などの老廃物となり、腎臓でろ過されて尿中に排泄される。腎臓の機能が低下している人がたんぱく質を摂り過ぎると、老廃物を排泄するための腎臓の負担が大きくなり、そのことが腎症の進行を早めてしまうんじゃ!
糖尿病腎症の治療は、たんぱく質の摂取制限などにより、腎臓の負担を軽くして、残っている腎機能をできるだけ長く保ち、腎不全への進行を防ぐことが目的となる。
単にたんぱく質の摂取を減らしただけでは、指示エネルギー量を満たすことができなくなる!そこで、たんぱく質を減らす分は、炭水化物や脂質の比率を増やして補うんじゃ!
たんぱく質は、血液や筋肉を作り出すなど、栄養素としての役割がある。一方、ヒトのからだはエネルギーの補給を最優先させるので、炭水化物や脂質によるエネルギーの補給が十分でないと、たんぱく質が本来の目的に使われずに、エネルギー源として利用されてしまうんじゃ!

■仲良
「たんぱく質の摂取を制限すれば、身体に必要なエネルギー源が低減するのではないでしょうか?」

■東石
「そう。それを防ぐために、必要な炭水化物・脂質は十分に摂らなければならん!炭水化物と脂質を増やすことで、たんぱく質は栄養素として効率的に活用され、腎臓に余計な負担をかけずにすむようになる!
炭水化物を増やすことで血糖コントロールが乱れるようなら、薬物療法など他の方法でコントロールしなければならんじゃろうのう!」

■仲良
「塩分摂取量も気を付けないといけないと聞いたことがあるのですが?」

■東石
「いやぁ、塩分摂取量を制限することも、とても大事じゃ!糖尿病腎症が起きるとからだに塩分が溜まりやすくなり、その結果、血圧が上昇する。高血圧は、腎症の進行を加速させる重大な原因のひとつとなる。このため、糖尿病腎症の食事療法では、食塩の摂取も制限も必要になるんじゃな。
糖尿病腎症が進行すると、カリウムが尿中へ排泄されにくく、血液内のカリウム濃度が高くなる。カリウムが多過ぎると、頻脈〈ひんみゃく〉や心不全が起きやすくなるので、やはり摂り過ぎに注意しなければならんじゃろう!
とにかく糖尿病腎症に進行したら、糖尿病が発症した時よりも別の視点からの、食事療法を心がけなければならん。
病院や自治体の保健センターなどに常駐の管理栄養士さんなどに、質問し、相談することもよいじゃろう。
ただ、あまり過敏になりすぎて、ストレスを抱えないことが大事じゃろう!
いろいろと制限はあるが、別に、食べれないメニュー自体がさほど増えるわけではなく、そこで摂取する成分の量を制限するだけのこと。
仲良くんの奥さんの内助の功はお見事!若干気を付けねばならないことが増えるがやはり、食事を楽しむことが大事!まぁその辺は気楽に考えた方がよいじゃろうのう!」