糖尿病の合併症はまず神経に

糖尿病で怖いのは、何といっても「合併症」を招くことでしょう。
血液中にブドウ糖の多い状態が続くと、脳や心臓の血管、神経、内臓、目など様々な器官に障害が起こるのです。 こうした障害を合併症といいます。

糖尿病によって引き起こされる代表的な病気は、網膜症、腎症、神経障害で、これらは「糖尿病の三大合併症」と呼ばれています。
このうち網膜症と腎症はふつう、糖尿病にかかってから10年~15年後に現れます。網膜症は最悪の場合失明に至ります。 腎症は悪化すれば人工透析が必要になります。

一方、神経障害は糖尿病を発病後2~3年という比較的早い時期に現れます。
しかも数多くの人に現れるので糖尿病の危険いち早く察知するには、神経障害のサインに気づくことが重要となってくるのです。

糖尿病で神経障害が起こる理由は大きく分けて二つあります。
血管の障害と、代謝異常です。

神経は、体の各部のからの感覚や情報を脳に伝えたり、脳の指令を体の各部に送ったりする重要な役割を担っています。
ところが、糖が増えて血液の粘度が増すと、末端の毛細血管がつまって、血流が悪くなります。
その結果、酸素や栄養の供給が不十分になり、神経が正常に働かなくなってくるのです。

糖尿病による神経障害で、最も早いうちから現れるのが手足のしびれです。
これには、三つの特徴があります。

一つは、手足の指先からしびれが始まること。
これは体の末端から中心へと神経障害が進んでいくためです。

二つめは、しびれが左右対称に現れること。
右足の指先がしびれていれば、左足の指先も同じようにしびれるといった具合です。

三つめは、夜寝ている時や体が冷えたときほど、しびれが激しくなること。
昼間、体を動かしているときは、しびれが現れにくいのです。

神経障害が進むと、痛さや熱さへの感覚が麻痺して、ケガやヤケドに気づかず放置してしまうことがあります。 ひどい時は壊疽(えそ)が起こり、足を切断しなければならなくなることも少なくありません。

体が冷えやすい冬場の就寝中や夏場でも冷房をかけたままで寝ているときなどに、左右両方の手か足の先がしびれたら、ごく初期の糖尿病が疑われます。