外食での留意点

■仲良
「東石さん、透析予防のために食事療法が大切っていうことはわかったんですが、やはり、外食もつきもの!外食で何を注意すればいいか、教えていただけませんか?」

■東石
「そうじゃのう、糖尿病で食事療法している人も、外食・調理済み食品のお世話になることは多いことじゃろう。
とくに外で働いている方は、外食をせざるをえないことがあり、外食を無視した食事療法はあまり現実的ではないかもしれん。
そんな人にとって外食は、食事療法を上手に続けていけるかどうかを左右する大切なポイントといえるじゃろう!
外食メニューは一般にカロリーが高いことがあげられる。
これは糖尿病の方にとって大きな問題じゃ!そして、野菜が少なく炭水化物や脂質が中心の料理が多いのが特徴といえる。また、味付けが濃いことや、メニューを見てもどんな食材が使われているのかわかりにくいという難点もある。」

■仲良
「昼食が外食となることの多い方も多いと思われますが、どのような工夫をすればよいのでしょうか?」

■東石
「糖尿病の食事療法は、その人の体格や運動療法にあった「1日の指示エネルギー量」の中で、必要な栄養分をバランスよくとることが大事。具体的には、日本糖尿病学会編・著、日本糖尿病協会/文光堂より2013年発行の「糖尿病食事療法のための食事交換表 第7版(以下、食品交換表)」というのがあるから、手元においておけば、とても便利じゃ!。
外食をするにあたっても、まず第一に食品交換表をよく理解していることが前提になる!外食をする人は、この際にもう一度、食品交換表を使った食事のとり方を確認したほうがよいじゃろう…。
次に、自分がよく食べる外食料理に使われている食材の1単位の量を、自分の見た目の量=目安量で覚えること。料理前と料理した後では見た目の大きさが変わるので、実際に料理をして実感することが大事!。調味料の量と味付けの加減なども、料理をすることで覚えれるんじゃ!
目安量は、一度正しく理解したつもりでも、だんだんと見当がずれてくる!定期的に秤を使って自分の目安量の確認も必要じゃな!。空腹のときも満腹のときも、常に正確に1単位量を取り分けられるようにしなくてはならない。
料理された物を見たときに、表1から表6のどれにあたるものが、どの程度使われていて、何kcal〈キロカロリー〉 ぐらいになるかがわかるようになればベストじゃろう!」

■仲良
「ところで、外食に充てられる、エネルギー量や単位配分という言葉を聞いたことがあるのですが?これら数値も重要なバロメーターとなるのでしょうか?」

■東石
「そうじゃな 外食にあてられるエネルギー量と単位配分というのは重要なキーワードでそれらを頭に叩き込んでおくことは重要じゃ!
表1から表6それぞれを3食均等に分けるのが理想ですが、外食ではどうしても配分に偏りが出てしまうので、とくに野菜類などの不足した分は、家庭の食事で調節したほうがよい!
料理が運ばれてきたら、まず目安量で自分が食べるのはどのくらいかを判断する。例えば1日1,600kcal、20単位の人で昼食が7単位の人は、7単位分各表の目安をつけ、おかずやごはんでオーバーする分を食べる前に器の端によけておき、手をつけないようにするんじゃ!
魚料理など食材の形がそのまま残っているものは目安量をつかみやすいので、外食初心者にはお薦め!また、よける量がほんの少しの場合も「ちょっとぐらいは…」といって食べてしまわずに、必ず残すようにすることが大事。
なお、昼食が外食となるとわかっている場合は、若干昼食分を多く割り当てておくようにすると、残さなくてすんだり、残す量を少なくできる!
もちろん極端に昼食分を増やすことはいかん!また家庭での食事の配分を加減することが大切じゃな!
外食で注意しなくてはいけないのは、味付けが濃く、油や砂糖がたくさん使われていること。和食ではさとうやみりんの量、洋食では肉の脂と料理に使われるバターや生クリーム、ソースなどに気をつけにゃならん!
中華料理は、油がたっぷり使われていて、食材自体が油で下処理されていますし、かかっているあんの量も大変なもの。油が多い外食メニューの場合、揚げ物の衣をはずしたり、ソースやスープを残すなどの工夫が必要じゃな!
具体的なメニューにおける食べ方についてじゃが…。
焼き魚定食の場合は、和風のメニューは食材の形が料理にそのまま生かされていて目安量を判断しやすく、油も少なめ。さらに定食であれば、栄養のバランスもとりやすいので、外食の中では最もお薦めのメニューじゃ。
さんまの焼き魚定食の場合、さんまは表3が2.5単位。表1がごはんとポテトサラダ合計で5.5単位になるから、指示エネルギー量が20単位の人でもごはんを1単位とさんまをいくらか残したほうがよいじゃろう。
天ぷらそばの場合じゃが、一般的に麺類は低カロリーで栄養は炭水化物に偏り、たんぱく質や脂質はほとんどとれん。また、汁は塩分が多いので、全部は飲まず残すようにすること!
天ぷらは高カロリーの食べ物。衣が大きすぎると判断したときは、自分の指示エネルギー量を考え少し衣を外し、油(表5)を朝食や夕食に少し使うことができるじゃろう!
ハンバーグライスの場合、洋風メニューは肉類の脂や味付けに用いるバターなどで、油が多くなりがちです。表5に気をつけながら食べることが大事
ハンバーグはひき肉が使われていて、高カロリーのメニュー。全部食べては指示エネルギー量をオーバーしてしまうので、20単位の人でも3分の1ぐらいは残すようにしたほうがよいじゃろう!」

■仲良
「外食を楽しみながら、食事に気を使う場合どんなことを注意すればいいのでしょうか?」

■東石
「そうじゃな、いかに上げるポイントに注意ししてもらいたいと思う。
●どんぶり物より定食のほうが栄養のバランスをとりやすい。
●目安量がつかみやすい、食材の形が生かされたメニューを選ぶ。
●外食での栄養の偏りは、家庭の料理で調節。
●自分で積極的に料理をして料理好きになろう。
●天ぷらやフライなど、油が使われている料理は、高カロリーなのでなるべく控える。衣をとって食べるのもよい。
●外食のガイドブックなどを携帯するのもよい方法。
●目安量の確認にハンディータイプの秤が便利。
●糖尿病の人は禁酒が原則。飲酒は主治医に相談を。
●残業するときは、夕方にクッキーと牛乳などの軽食をとり、その分は夕食で調節する。
●宴会はなるべく避けたほうがよいが、参加する日は昼食を少なめ

とにかく、外食はいろいろなもの余分に摂取してしまいがち….。
きちんと意識して、メニューを選ぶことがとても大切なんじゃぞ!」