『味覚』がおかしくなったら赤信号

糖尿病が進行してくると、「なんだかだるく、疲れがなかなかとれない」「このごろ甘い、辛いなどの嗜好に変化がある」「喉が乾きやすく水分をやたらと摂取したくなる」などの症状があり、こうした症状に思い当たる項目がいくつかあれば、もしかしたら、予備軍から悪化している可能性があります。

なかでも、嗜好の変化は顕著で、糖分のある甘い食べ物が無償に欲しくなったり、揚 げ物などの高カロリーの食事が以前に比べて増えてきたり、辛い、甘い、刺激があるなどの「味にメリハリのあるもの」を好むようになってきたり、さらに進行すると「食べた物の味がわからない」といった現象が起こってきます。
この場合は糖尿病による「味覚障害」を疑ってみる必要があります。

糖尿病は血液中の血糖値を調節するインスリンが減少したり、増えすぎたりすることで起こります。この血糖値の調整をつかさどるインスリンは膵臓にあるβ細胞に蓄えられ、食事を摂取するごとに分泌されます。
インスリンの作用により血液中の血糖値が常に正常化され、糖をエネルギーへと変化させているわけですが、糖尿病を患うと、この膵臓の機能がうまく働かなくなります。
インスリンの分泌機能が抑制を失い、過剰にインスリンを血液中に分泌すると、逆に血液中の血糖値が極端に低下して、甘いものを身体がやたらと欲するという症状が出てきます。

また、膵臓のβ細胞がインスリンを貯蔵するには必須アミノ酸である「亜鉛」を必要とします。亜鉛不足は膵臓機能の大敵で、β細胞は不具合を起こし出します。
「味がわからなくなった」というような「味覚障害」はこうした膵臓機能の低下と亜鉛不足が考えられることが多く、まず、糖尿病を疑ってみる必要があります。